世界各国で起きているテロ(テロリズム)。テロリストはどんな動機で事件を起こすのか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された解説を紹介しよう。監修は、国連職員や国際NGOのメンバーとして、「武装解除」のしごとに携わってきた、東京外国語大学大学院総合国際研究科教授の伊勢崎賢治氏だ。

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 テロのニュースを見て、怖い思いをしたことがある人もいるだろう。

「テロリスト」とは、何かの目的のために、社会に対して暴力的な行為をする人たちのこと。一般市民にも犠牲者を出して、人々に恐怖を植えつけることも彼らの狙いだ。テロが起きたら、その背景や犯人の目的をよく調べてみよう。

 21世紀は「テロの時代」といわれている。20世紀に起きた2度の世界大戦のような、「国と国による大規模な戦争」とは違い、国境を超えたテロ組織や特定のグループ、個人犯によるものなど、テロの形態はさまざまだ。

 今世紀最大のテロ事件といえば、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ(9・11)。これ以後、アメリカを中心に世界の国々は「テロを撲滅するため」、テロリストが潜む国に戦争をしかけたり、空爆を行ったりしている。しかし、事件から15年たった今、テロは減るどころかますます増えている。最近では、テロリストがインターネットを使いこなして仲間や資金集めをするなど、その勢いは今後も加速していくと見られている。

 では、テロリストはどんな動機で事件を起こすのだろう?

 テロが起きる最初のきっかけとなるのは「グリーバンス(grievance)=不満・恨み」だ。キミもこれまで、グリーバンスがたまって関係のない誰かに八つ当たりをした経験はないかな? 学校や家庭内でも日常的に「ちっちゃいテロ」が起きているかもしれない。世界で起きているテロは、その延長線上にある。

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AERA dot.編集部
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