このように、低学年では、それほど難しく思えない問題なのに、間違うことがよくあります。
「私の経験則からすると、ケアレスミスは低学年でも、高学年でもあります。つまり、誰にでも起こるものですが、意識を変えれば、大幅に減らすことができます」
と、山本先生は話します。
算数では、低学年のケアレスミスの原因の一つは文章を正しく読めていないことだと指摘します。
「算数の文章問題は、実はすごく不思議な世界。あめが5個あります。何個か食べたので残りは3個になりました。何個食べたでしょう? こういった問題に対して低学年の子は、『食べたのは自分なのに、なんでそんなこと聞くの?』と思うのです。自分の体験と重ねて文脈を読み取っているからなじめない、というのがミスの根本にある。まずは文章問題そのものに慣れさせることが大切です」
ケアレスミスのナンバーワンといえば、計算ミス。くり上がり・くり下がりのあるたし算とひき算、かけ算の九九は徹底的にやっておきたい学習です。練習を重ねることや学習のやり方を工夫することで大幅に減らすことができます。ここでは具体的な対策法を紹介します。
◎1桁同士のくり上がりのたし算と2桁-1桁のくり下がりのひき算を瞬時に答える
(1)たし算36枚、ひき算36枚の式カードを作り、ランダムな順番に交ぜる
(たし算/2+9、3+9、3+8、4+9、4+8、4+7…9+2、ひき算/18-9、17-9、17-8、16-9、16-8、16-7…11-2)
(2)式カードを見て、式と答えを声に出して言う
(3)式カードを見て、式と答えをノートに書く
中学年以降に習うかけ算の筆算ではたし算を、わり算の筆算ではひき算を使います。つまり、たし算・ひき算が確実にできなければ、かけ算・わり算の計算もできません。かけ算の九九と同じように、『1桁+1桁』のくり上がりのあるたし算、『2桁−1桁』のくり下がりのあるひき算の答えが条件反射的に言えるようになることが大事です。声に出したり、ノートに書いたりすることで覚えやすくなるでしょう。答えだけでなく式も声に出して、式と答えをセットにして体にたたきこみます。
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