たとえば、ドラえもんのひみつ道具に「糸なし糸電話」ってあるんです。それって今でいう携帯電話でしょ? 2020年の今だから当たり前のように見えちゃうけど、僕らが子どもだったころは、誰もが「こんな道具があったらいいな~」って思ったような道具。そういう「もしも」の道具を、どこかの誰かが「“もしも”じゃなくさせてやる」とふんばって具現化させた道具って結構あるんじゃないかなぁ。それと、ドラえもん自体、その形や色で安心させてくれてるけど、中身はすごい。のび太を助けるロボットのはずなのに、のび太の頼みを拒否することもある“気分”を持っていたりする。だから、いろいろひっくるめて、非常にパンクな作品だと思いますね。
――「のび太の新恐竜」では「あきらめない心」も大きなテーマ。木村さんが小学生時代、あきらめずに頑張ったことはありますか?
周りの友達は野球チームやサッカーチームに入ってたり、スイミングスクールに通ってたりしたんです。そういうやつらは体育の時間、僕らに「ウソだろ!?」という違いを見せつけてくるんですよ。プールの時間、水を得た魚のように泳いだり、50m走では恐ろしいスピードで走ったり。そういったなかで、自分が属してたのは剣道だった(笑い)。剣道って現実にまったく生きないんですよ。しかも俺、50mすら泳げなくて、そういう自分がすごく悔しくて。それで、地域でやっている大人用のプールに通って、ひたすら練習して泳げるようになりました。50m往復できるようになったときはなんか……うん、達成感はありました。でも、尋常じゃないほどの水が鼻腔の中に入ってました(笑い)。
――木村さんみたいに「あきらめない心」ってどうやったら持てるんでしょう?
俺の場合は多分、剣道かな。だから、今思い返すと剣道の経験も生きてましたね。剣道はその場で勝ち負けがハッキリ決まる。俺もそういうところが好きだったし、「勝つのと負けるのとではどっちがいい?」という、先生方からの指導もありました。剣道の先生たちは普段は警察官で、すげぇ厳しかった。
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