藤井聡太棋聖の活躍により、再び大きな注目を集めている将棋。一方の囲碁にも、国民栄誉賞を受賞した井山裕太棋聖がおり、昨年には小学生プロ棋士が誕生するなど話題に事欠きません。どちらも「やると頭が良くなりそう」なイメージがありますが、それだけではなく、勉強だけでは身につかない「人として大切な力」を育んでくれます。「AERA with Kids夏号」(朝日新聞出版刊)では、将棋と囲碁、それぞれの専門家に話をうかがいました。子どもに興味を持たせたいと思ったとき、あなたならどちらを選びますか?
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将棋教室では、子どもたちが真剣なまなざしで対局に没頭する姿が見られます。「自分はどこに駒を指せば勝てそうか」「相手は次、どこに駒を置くだろう」など、頭の中は高速フル回転。
「現状を理解し、相手の出方を予想して自分の指し手を決める。対局はその連続なので、子どもは自然と集中力や考え抜く力、先を読む力や決断力など、さまざまな力を育んでいきます」
と、日本将棋連盟の安次嶺(あじみね)隆幸さんは話します。
それは囲碁も同じ。また、礼儀作法や思いやりも育つようです。
「相手がいるから対局できることに感謝し、礼儀正しい振る舞いもできるようになります。相手の立場で考える姿勢も芽生えるでしょう」
と、日本棋院の水間俊文さんも続けます。
人として大切な力を育む要素が多い囲碁や将棋。しかもそれらを「楽しみながら」身につけることができるのが最大の魅力です。
では具体的にどんなところが魅力なのでしょうか? 将棋と囲碁、それぞれみていきましょう。
◎将棋の「ここがスゴイ!」
1.駒の動きを駆使して先を読む
駒は王将をはじめ、金将、銀将、飛車、桂馬など8種類で、それぞれ動かし方が決まっている。つねに相手の駒の動きを予想しながら、自分の駒の動かし方を決めるのは、まるで「得意技の違う選手を上手に使って試合を勝利へ導く監督」の気分!
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