■私の学校選択の基準は 校長・多様性・女子校

「私自身、日本の偏差値教育の中でコンプレックスを抱えて成長しました。だから娘には絶対にそんな思いはさせたくありませんでした」

 入学させる小学校の最大の条件は非認知能力を育ててくれること。さらに三つの観点で学校を選択した。

「一つ目は、校長先生が語る教育の基本方針です。直接話を聞けば人柄もわかります。私立校は、校長先生がいい意味でも悪い意味でもキーパーソンになりますから」

 二つ目は在校生や保護者の姿だ。

「娘はアジア系なのでダイバーシティーは重要。ほかの保護者の価値観も知っておきたくて、受験前に何人かと会わせていただきました。人種も経済的なバックグラウンドもさまざま。それでも皆で子どもたちを応援しようという空気がありました」

 ボークさんは10年後の娘の姿をイメージするために、系列の高校も見学した。そのうえで「わが子の性格に合っているか」という三つ目の観点で学校を選択したという。

「娘は当時シャイな性格。中高生になったら男子に圧倒されて実力が発揮できないかもしれない。系列中高は女子校で、女子たちが主体的にのびのびと活動していました。『娘の学校はここだ』と確信しました」

 また、学校見学のときには児童のアート作品を必ず見たと言う。

「子ども時代はクリエイティブの翼を羽ばたかせる大切なとき。自分の気持ちに正直に学べているかは、アート作品の自由さでわかります。みんなが似たような小ぎれいな作品を作っている学校は注意が必要かも」

■パッションが向かう先に 子どもの夢や成長がある

 このような学校選びの観点は、日本でも参考になりそうだ。加えて「日本の場合、ディスカッション能力とパッション(情熱)を育てているかをチェックして」と強調する。

「私が約20年前に米国に来て痛感したのは、自分のディスカッション能力の低さです。日本人は反対意見を言われると、傷ついたり感情的になったりしがち。相手の意見のよさを見つけてすり合わせ、新しい答えを導き出していく討論の力は、訓練しなくては身につきません」

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