■幸福は連鎖する。今、幸せですか?

 そして親自身が「幸せの四つの因子」を持っているかどうかも子どもの幸せに大きく関与するそうだ。

「もし『何が何でも〇〇小学校でなくちゃ!』と思っているなら、親自身の幸福度が下がっている証拠です。日本人はとくに第3因子、第4因子が弱く、人の目を気にし、人と比較しがちなのです。でも『この子らしさが発揮できる学校なら偏差値は関係ない』『どこに入学しても幸せになれる』と思えれば、学校の個性や魅力が多角的に見えてきます。そして『この学校もいいな』『ここも素敵』と思って受験すれば、志望校に落ちたって幸せでいられます」

 そうは言っても、「この学校に入れれば子どもが将来幸せになれる確率が上がるのでは」と思ってしまうのが親心だ。

「今回のコロナ禍でもわかるように従来の価値観が大きく変化することはいつでもあり得ます。産業構造も変わってきています。そんな中で『ここに受かれば安心』なんて学校は存在しません。にもかかわらず『将来の幸せのために今は死に物狂いで頑張れ』でいいのでしょうか」

 心が幸せな状態だとパフォーマンスが上がる。幸せは原因でもあり、結果でもある、と前野さん。

「未来を憂えず、親は子どもを『今、幸せな子』にしましょう。幸せの連鎖はそこから始まります」 

前野隆司(まえの・たかし)
1962年山口県生まれ。ハーバード大学客員教授などを経て2008年から慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科教授。17年から同大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼任。著書に『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。
(『AERA English特別号 英語に強くなる小学校選び2021』より)

(文/神 素子)

【AERA English特別号】英語に強くなる小学校選び 2021 (AERAムック)

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神素子
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