サイボウズは、「100人いたら100通りの働き方がある」と考え、仕事も人生も同時に楽しむ働き方を実現する会社を目指しています。私自身、3人の子どもが生まれるたびに3度の育児休暇をとりましたし、テレワークも以前から当たり前のように行っています。

 ただ、自由度が高いということは、「自分に向き合う力」が求められるということです。これは簡単なことではありません。例えばわが社では年に一度、上司との面談で「給与はいくら欲しいですか?」と聞かれます。これは実は難しい問いです。本当に自分が喜べる金額はいくらか。その金額を得ることで、自分が手にしたいものは何か。そしてその金額を自分はどう稼ぐか。そういったことに向き合わないといけないからです。

■「なりたい自分」から「やるべきこと」を考える

 このような時代になると、組織で求められる個人の能力は大きく変わります。上司の言いなりになるような働き方ではなく、自分でセルフマネジメントしながら働く人材が求められる。この傾向は加速していきます。そしてこの社会の変化に応じて、教育も変わっていかなければなりません。

 日本の教育は、相変わらず「言われたことをきちんとやる子」が評価されていますが、AIやロボットと共に働く今、人に言われたことを忠実に実行するだけの能力は価値として下がっています。

 たとえばもし今度の冬休み、宿題が1個も与えられなかったら、どうしますか?ずっと寝ている、ではつまらないですよね?そんなときは「この冬休みが終わったらどんな感じになっていたい?」「今週はどんな感じですごしたい?」と自分が想像できる範囲の楽しい未来をイメージしてみる。そこから課題を設定して取り組む。こうやって「なりたい自分」を設定して「やるべきこと」に落とし込む、という作業をぐるぐる回していくことが大事。これはわが社でやっていることと同じです。

 子育てでも、「その子が好きなこと」や「こうなりたい姿」という姿は違いますよね。子育てでも「100人100通り」を目指すことが大切だと思います。うちの子どもたちも3人それぞれ、まったく違う個性を持っています。

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