感染拡大が続いている新型コロナウイルス。子どもは感染しにくい、重症化しにくいなどと言われるが、本当だろうか。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」2月号で、朝日新聞の編集委員が解説した。

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 子どもは新型コロナウイルス感染症にかかりにくいといわれる。一方、学校内で複数の生徒が同時期に新型コロナにかかる「集団感染」も、ときどき起きている。子どもと新型コロナについて、どう考えたらいいのか。

 厚生労働省が発表している2020年12月9日時点のデータでは、10代以下の感染者は1万2629人で、全体の約8%だ。

 大人に比べた子どもの感染のしやすさについて、日本を含む世界の32件の研究をまとめて分析した報告がある。それによれば、20歳以上の感染しやすさを1とすると、20歳未満の感染割合は0・56。ただ、20歳未満のうち、10~19歳に限ってみたところ、感染のしやすさは20歳以上と差はなかったという。この結果だけで厳密に年齢を区切ることはできないが、すでに10歳を過ぎている場合は、「子どもだからかかりにくいはず」と油断しないほうがよさそうだ。

 子どもから感染が広がりやすいかどうかも重要だ。このことを調べた研究は多くはないが、韓国の研究チームは、子どもが最初に新型コロナに感染した107家族について調査した。すると、最初に感染した子から家族の別の人に感染した例は1例だけだったという。もっとも、子ども自身も家族も、感染を広げないよう十分に注意していたから、周りに広がるケースが少なかっただけかもしれない。しかし、いまのところ、子どもからの周囲への感染例は多くはないといえそうだ。

 日本小児科学会が全国の小児科医の報告をもとにまとめたデータベースによると、周囲に先に感染した人がいて、子どもがだれから感染したかが推定できたケースのうち、8割近くが家族で、両親や祖父母がほとんどを占めた。

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田村建二
田村建二
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