木村:アンケートでも、パートをしていることを親には内緒にしているという方がいまし たよ。親世代からくる圧って多いですよね。
Bさん:親も世間も。とくにうちの仕事は周囲とのおつきあいも多いので、本当にいろいろ言われます。そういうときは、この人が私の年齢のときはそれが常識でそう言われて育ったんだろうなあ、私に言うのもその人の常識や経験からくる愛情だろうと思いながら、上手に受け流すようにしています。私にできるのは、そういうバイアスがなるべく子どもに直接届かないようにすること。私がフィルターになる、せき止める役になるというか。
Aさん:私も、これってどうなの?と思うものに遭遇したら、そのままにしないで、子どもと話すようにしています。メディアの影響ってとても強いと思いませんか。男の子はブルーで強いヒーロー、女の子はピンクでフリフリとか。アニメやおもちゃ、CMもステレオタイプな男女像を発信していますよね。今のメディアを見続けて、子どもにそういうものなのかと刷り込まれてしまうのはこわいので、これは昔の話で今は違うよ、とか、男の子だからこうしないといけないというのはおかしいよねと話すようにはしています。
木村:バイアスがかかっているものに対して知らんふりしたりするのではなく、これはおかしいよね、違うよね、あなたはどう思う?と話題にするのはいいですね。バイアスを解く、もしくはバイアスだと気づいてもらうのは、親の役目かもしれません。
Bさん:ジェンダーバイアスによって子どもの選択肢が狭まってしまわないように、それだけはとても気をつけています。長男は、必ずしも親と同じ職業につかなくてもいいし、長女は、自分は男じゃないから必要とされていないと思ってほしくない。夫は自分が世襲した 立場なので、そのあたりの意見は違うところがありますが……。とくに女の子の場合、こんな女性になりたいというロールモデルがまだまだ足りないと思うんです。それも、女性というだけで注目されるのではなく、やっていることで注目される女性がたくさん出てくるといいな。うちのようなジェンダーバイアス度が高い環境にいながらも、子どもたちが比較的ジェンダーにとらわれない考えをもってくれているのは、たまたま周囲に活躍している女性が多いことも大きいと思います。
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