学校が独自に設ける制度にも注目すべきだろう。前野さんは次のように指摘する。

「近年では、『特待生制度』を取り入れる私立中学校が増えています。合格者に入学金や授業料を免除する特典を与える制度で、選出基準や免除内容は学校によってさまざま。早めに情報を調べましょう」

 対象は高校生ながら、教育無償化を実現する高等学校等就学支援金制度は、子どもが小学生の段階から認識しておくべきだ。判定基準を満たすことで、年間で11万8800円、または39万6000円が支給される。「この判定に大きく関与するのが、前年の住民税です」と前野さんは説明する。

「住民税をもとに計算されるため、住民税の課税標準を抑えることで、約40万円の支給要件に滑り込める可能性もあります」

 住民税を抑えるために「子育て世帯こそ注目」と前野さんが挙げるのが、老後資金として一定金額を積み立てていくiDeCo(イデコ)だ。

「iDeCoで積み立てを行うと、所得控除が使え、税金を抑える効果も見込めます。老後資金として注目されることの多いiDeCoですが、教育費の節約にも役立つ可能性が大いにあります。支援制度とともに税制の仕組みなどにも目を向けてみてください」

 大学進学までを想定する場合、前野さんが提案するのは児童手当をベースにした計画的な積み立てだ。児童手当は世帯主の年収が約960万円以下の場合、第2子まで子ども1人につき、3歳未満には月額1万5000円、3歳以上中学生までは月額1万円が支給される。前野さんは続ける。

「児童手当のすべてを積み立てると、約200万円になります。同時に、子どもの誕生から18歳まで、毎月1万円の積み立てを続けると考えてみてください。すると合計216万円となり、児童手当と合わせて約420万円がためられる。子どもが18歳の時点で、400万円が目安と言われる私立大学資金の積み立てを実現できることになります」

 祖父母に教育費を援助してもらう場合は、贈与税に注意したい。年間110万円以下の贈与であれば税金はかからず、1500万円までの教育資金の一括贈与の際には、贈与税が非課税になる制度もあるので、こうした仕組みを認識しておこう。

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