「最近は、スマートフォン、ネット環境、動画サービス、衛星放送の契約など、通信費が高額になっている家庭が多いです。収入が高い家庭ほど、プランの確認と見直しを軽視する傾向がありますが、月々数千円から2万円前後の出費を抑え、コツコツとためていけば、受験や入学時にかなり役立つはずです」
保険料にも見直すべき余地がある。前野さんは、保険の内容やプラン、価格よりも、その必要性の是非を検討することが重要だと説明する。
「『何かあったときに安心だから』という感覚で保険に加入している人が少なくありません。死亡保険や医療保険は、遺族年金、傷病手当金、障害年金などの知識を得て、国の制度を使うことで、今よりも節減できる可能性があります」
■大切なのは教育費の上限を決めること
中学受験に臨む家庭で、何よりも重要な準備は予算の設定だ。前野さんはこう話す。
「各家庭で教育費の上限を決めるのはとても大切なこと。住宅費や教育費を借り入れることはできますが、老後の資金にローンはありません。『子どもの勉強のために』と教育費を“聖域”にし、お金をつぎ込み続けた結果、将来の老後資金で困るのは親です。事前に準備が可能な金額を見極め、予算をしっかりと設定すべきです」
中学受験のための塾に通う場合は月謝に加え、夏冬の講習や特別授業、模擬テストなどの費用も発生する。入試が近づくにつれて膨れ上がる塾代に歯止めをかけるためにも、親の決断が必要になる。前野さんが言う。
「『一つの講習、1科目の授業料の出し渋りが不合格につながったら……』。親は、このような不安を抱えることもあると思います。それでも、無条件にすべてを受講していては、際限なく費用がかさんでしまいます。中学受験とともに、高校や大学への進学、さらには自分たちの老後のことも視野に入れましょう」
■教育支援制度を積極的に活用する
教育費の計画的な捻出においては、国や自治体の支援制度も見逃せない。たとえば、私立小中学校等就学支援。年収をはじめとした要件を満たすことで、児童1人あたり年額10万円が支給される。自治体独自の支援制度もあり、積極的な情報収集が欠かせない。
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