9、10歳の「プレ思春期」の時期、親の関わり方は重要です。親子関係を長年研究してきた臨床発達心理士の小野寺敦子先生は「性別が違えば、それぞれ与える影響も変わる」と言います。母親と娘、母親と息子の関係に分けて、それぞれどんなふうに接するのがいいのかうかがいました。発売中の「AERA with Kids」秋号から一部抜粋します。
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●母×娘・・・母の生き方が娘の人生観に影響を与える
「娘にとって母親は一番身近な同性のモデル。次第に大人びていく身体のこと、ファッションのことなど、なんでも話しやすい良き理解者であり、影響は大きいものです」。
それだけに、母親は娘を自分の「分身」のように考え、かなえられなかった夢を実現させようとしたり、「私のときはこうだった」「あなたのため」と価値観を押し付けたりしがちです。
「今は言うことを聞いていたとしても、中高生になって突然爆発したり、いつの間にか修復できないほど関係が壊れていたり、なんてことにもなりかねません」。
娘は母がすすめた習い事を楽しそうにやっているか、母親に気をつかって自分の気持ちをしまいこんでいないか……、ときには一歩引いて観察してみることが大切です。
「娘は母親の生き方をよく見ていて、母親の姿は娘の将来の人生観にも大きな影響を与えます。母親自身が、充実した楽しい人生を送っていることが重要です」。
●母×息子・・・「口出し」「手出し」は息子の自立のためにこらえて
精神的に幼い面のある男の子。何かと手を焼いてしまう母親の態度が息子の成長を妨げてしまうことも。自分の身の回りのこと、家のお手伝いも意識的にやらせましょう。また、息子が自分の思いをあまり表に出さなくても、内心はちゃんと考えているもの。焦らず、思いを口に出すのを待って。自分とは異なる意見が出ても、まずは尊重して、そう思った理由を聞きましょう。母親の意見を一方的に押し付けると「どうせわかってもらえない」と口を閉ざしてしまうことも。
(取材・文 阿部桃子)
※AERA with Kids 2021年秋号から一部抜粋。誌面では、「父×娘」「父×息子」のパターンについても紹介しています。ぜひご覧ください。
朝日新聞出版