もうひとつが計算力を高める「筆算能力検定」である。20~40題ぐらいの問題を5分で解くというもので、1年生の秋から月1回のペースで行われる。

「20級から始まって、最後の『超人級』になると、大人でも解けないほどの難しさです。息子たちはだんだん級が上がるのがうれしいようで、友達と競争しながらゲーム感覚でやっていました」

 中学受験では4科目の入試を行う学校が多い。洗足学園小では3年生になると国算の2科目、5年生からは国算理社の4科目の模擬試験が校内で実施される。

「本番を半年後に控えた6年生の2学期からは、過去問演習もありました。さらに校内には『進路サポートルーム』があって、卒業生が寄付した過去問集が何十年分も蓄積されています。常駐の先生に志望校選びを相談することもできて心強かったです」

■小学校の友達は一生の財産

 川野さんの息子2人は、進学塾にも通っていたという。10~12歳という多感な年齢に、遊びたくならないのだろうか。川野さんは、「洗足学園小に入学させていちばん良かったのは、中学受験という厳しい体験を、一緒に乗り越える友達ができたこと」と話す。 

 また校内では「一生懸命勉強することはかっこいいこと。みんなでがんばろう」という雰囲気が醸成されていたという。

「さらに受験対策勉強だけではなく、3~6年生で長野県・黒姫高原のロッジに行き、縦割りグループでカレーライスを作ったり、ゲームをしたりして楽しむ宿泊行事もありました。小学校時代の友達との交流は、一生続くことでしょう。その人脈が、洗足学園小で得られた、最高の財産だと思います」

 洗足学園小に代表されるように、難関中学への進学実績が高い私立小が、志願者数を伸ばしている背景について、創立52年の大手幼児教室ジャック幼児教育研究所の吉岡俊樹理事は、「中学~大学という先々の受験を『弊害』ではなく、『成長のチャンス』と肯定的にとらえ、きちんとした学習指導を小学校側に求めるご家庭が増えている」と分析する。

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