●宇宙誕生から間もないころの銀河や地球とよく似た惑星の観測も
これまでに観測されたもっとも遠い天体は、134億光年のかなたにある銀河とされている。この銀河の光は134億年前に光ったものが、今の地球に届いていることになる。つまり遠くの宇宙を見ることは、過去の宇宙を見ることにほかならない。
宇宙は138億年前に起こったビッグバンによって誕生し、それから2億~4億年後、最初の星が生まれ、その後に、最初の銀河ができたと考えられている。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のミッションが目指す目標の一つは、初期の宇宙で最初の銀河がどのように形成されたかを調べることだという。うまくいけばこれまでの望遠鏡の観測限界をさかのぼり、宇宙が誕生して間もない時代の姿が明らかになるかもしれない。
太陽系や太陽以外の恒星が持つ惑星(系外惑星)の観測を通して、生命が存在する可能性を探ることもミッションの目標に挙げられている。30年ほど前から、太陽以外の恒星にも惑星が次々と見つかるようになり、これまでに4900個以上(2022年1月現在)が確認されている。なかには、地球に似た環境の惑星もあるとみられ、そこに生物が存在するかどうかは、天文学者だけでなく私たちの誰もが知りたい謎だ。
「宇宙誕生」と「生命の存在する系外惑星」。興味を大きくそそられるこの2大テーマに挑んでいると聞くと、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡から、目が離せない。打ち上げから約6カ月の準備期間を経て、5~10年に及ぶ観測が始まるというから、夏前には第一報が届くかもしれない。期待して待っていよう!
(サイエンスライター・上浪春海)
※月刊ジュニアエラ 2022年3月号より
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