昨年末の12月25日(米国時間)、「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が、ギアナ宇宙センターから打ち上げられた。ハッブル宇宙望遠鏡をはるかにしのぐ性能を持つこの望遠鏡は、宇宙のどんな謎を解き明かしてくれるのだろう。小中学生向けニュース月刊誌「ジュニアエラ」3月号では、そのすごさに迫った。

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●直径6・5mの大きな目が遠い宇宙から届く赤外線をキャッチ

 宇宙の観測は、地上の望遠鏡だけでなく、人工衛星に望遠鏡を載せた宇宙望遠鏡からも行われている。宇宙望遠鏡は、地球をおおう大気の層にじゃまされないので、地上よりも良い条件で遠くの天体を観測できるのだ。1990年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡は上空約600キロメートルの軌道上を周回しながら、直径2・4mの主鏡ではるかかなたを見つめ、謎に包まれていた宇宙の姿を次々に明らかにしてきた。

 このハッブル宇宙望遠鏡に続く宇宙望遠鏡のエースとして、NASA(アメリカ航空宇宙局)を中心に計画されてきたのが、「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」だ。

 望遠鏡は、目にあたる主鏡が大きいほど多くの光を集めることができ、遠くの弱い光もとらえることができる。ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の18枚の主鏡は、直径が6・5m、面積はハッブル宇宙望遠鏡の主鏡の約6倍もあり、この大きな主鏡で、長い旅の果てに届いたごく弱い赤外線をキャッチして、宇宙の謎解きに挑む。

 配置される場所も、ハッブル宇宙望遠鏡とは大きく異なる。ハッブル宇宙望遠鏡は地球の上空約600キロメートル、月よりもずっと近い位置を周回しているが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は地球から見て太陽とは反対側の約150万キロメートル、地球と月との距離よりも約4倍遠い場所に置かれるのだ。

 望遠鏡の姿も独特だ。主鏡の床にあたる部分には、5層のサンシールド(日よけの膜)がある。この大きなサンシールドで、太陽や地球・月から届く光や熱をさえぎる。というのも、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が性能を十分に発揮するにはマイナス223度以下の超低温を保つ必要があり、ごくわずかな光や熱も精密な赤外線観測に影響を及ぼすからだ。

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上浪春海
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