【解説】

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)

 ニュースに深い関心を抱く4歳の娘さん、さすがですね! 大人にも即答できない問題に対し、エンドレスで質問するなんて、まさにブレーンストーミングの練習になってすばらしい家庭環境ですね。

 さて、人命に関わる危機、国の存亡に関わる危機に「適当なつくり話」をすることはやめましょう。幼い頃から「人としての正しさ」が奈辺にあるのかを、しっかり教えるべきです。

 古代中国の思想家・孔子は、弟子たちに、見識を広くして客観的に物事を見ることができるようにするために学問を教え、人間関係を円滑で豊かなものにするために「礼」を教えました。

 実は、孔子は、裏切り、謀反、贈収賄などが横行し、いつ自分の国が他国に侵攻され滅びるか、わからないような戦国の世に生きていました。今から2500年前、人々は自分の生命や国の存亡に対して、われわれ、現代の日本人よりもっと危機感を抱いていました。 

 娘さんの疑問「どうしてロシアのウクライナ侵攻を止められないのか」について、説くことは難しいですが、孔子の言行録『論語』に記された言葉に沿って考えてみます。

「子張(しちょう)、行われんことを問う。子曰(い)わく、言忠信(げんちゅうしん)、行篤敬(こうとくけい)なれば、蛮貊(ばんぱく)の邦(くに)と雖(いえど)も行われん。言忠信ならず、行い篤敬ならずば、州里(しゅうり)と雖も行われんや」(衛霊公第十五)

 弟子の子張が「どうしたら人々が従うような、正しい行いに達することができるのか」と尋ねたとき、孔子は「言うことが誠実であるように、行いが敬虔であるように」と答えました。

「忠信」とは誠実さ、優しさ、「篤敬」とは敬虔、謙譲であることを言います。孔子は「正しさ」を、常に人間関係という点から考えていました。人は、他者との関係があってはじめて生きていくことができるのですから。

 でも今のプーチン大統領の発言、言動は「忠信」、行動は「篤敬」でしょうか。人と接する時に、「忠信」「篤敬」の気持ちがなかったとしたら、どうやって他者と信頼関係を築くことができるでしょうか。

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