人生の重大な選択は子ども自身にさせたい
移住を考えたきっかけは、「娘たちに中学受験をさせない」と決めたことだった。
「私は高校も大学も自分の意思で学校を選びました。だから受験でも努力できたし、納得度も高いんです。娘たちにも人生の選択は自分でしてほしい。そう考えると小学生で受験させるのは早いな、と」
だとすれば、高校受験までの時間を有意義に使いたい。海外移住するなら今しかない、と気づいた。
「ところが、幸いなことに子どもたちは日本の学校が大好きなんです。『日本にいたい』『世界中に友だちなんていらない』って。その価値観を変えるのは小学生の今しかないって、逆に燃えました(笑)」
数年前から「ママは外国で暮らしてみたい。ついてきてほしい」とお願いした。日頃忙しい優木さんだが「マレーシアでは放課後もママがいっしょだよ」と約束した。
「今だけは、私のワガママにつきあってもらいます。夫も頻繁に会いに来ると思うので、マレーシアはもちろん、シンガポールやカンボジアなども旅したいですね」

帰国するのは長女が中1か中2になった頃。高校受験に間に合う時期であり、帰国子女枠での入試も検討できる。
「本人がもしマレーシアに残りたいとか、海外の高校に進学したいと言ったら、その気持ちは尊重します。世界のどこでも生きていける力をつけるのが、移住の目的なので」
故郷の佐賀を出るとき、両親が自由に羽ばたかせてくれたように、娘たちにも羽ばたく力を与えたい。優木さんの願いは、常にそこにある。
(文/神素子)
【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2026 (AERAムック)
朝日新聞出版


著者 開く閉じる