親の勘違い:「自然に治る」「お風呂に入れてはいけない」

 正しい対処:とびひは細菌感染症なので、抗生物質の治療が必要です。シャワーで患部を清潔に保つことは重要で、入浴制限は不要です。ただし、タオルの共用は避けましょう。

4) 日焼け(日光皮膚炎)

 子どもの皮膚は大人より薄く、紫外線に対して敏感です。重度の日焼けは火傷と同じ状態になります。

 親の勘違い:「子どもは日焼けしても大丈夫」「日焼け止めは肌に悪い」

 正しい対処:生後6カ月以降は日焼け止めの使用を推奨します。SPF15~30程度で十分で、こまめな塗り直しが重要です。

親が特に勘違いしがちな5つのポイント

 1. 「清潔にしすぎは良くない」という思い込み

 適度な清潔は必要です。毎日のシャワーで汗や汚れを落とし、清潔な衣服を着せることが基本です。

 2. 「ステロイド薬は怖い」という先入観

 医師の指導の下で適切に使用すれば、ステロイド外用薬は安全で効果的な治療薬です。使用を避けることで、かえって症状が悪化することもあります。

 3. 「自然に治るから放置」という判断

 軽症に見えても、子どもは掻きむしって悪化させやすいものです。早期の適切な治療が重要です。

 4. 「市販薬で十分」という自己判断

 子ども用の市販薬は限られており、効果も限定的です。症状が続く場合は専門医の診断を受けましょう。

 5. 「保湿は夏には不要」という誤解

 夏でも皮膚のバリア機能を保つため、適度な保湿は必要です。べたつかない軽いテクスチャーの保湿剤を選びましょう。

こんな時は迷わず受診を

 夏の子どもの肌トラブルは、正しい知識と適切な対処により多くが予防可能です。「様子を見る」ことも大切ですが、迷った時は早めに皮膚科を受診することをお勧めします。特に乳幼児の場合は、症状の進行が早いことも多いため、注意深い観察が必要です。

写真・図版(2枚目)| 子どもの夏の皮膚トラブル 親が“勘違い”しがちな5つのこととは?【皮膚科医が解説】
写真・図版(3枚目)| 子どもの夏の皮膚トラブル 親が“勘違い”しがちな5つのこととは?【皮膚科医が解説】

(文/大塚篤司)

子どもの皮膚トラブルは夏に急増! 医師に聞く、悪化を防ぐ「親子デイリーケア」の方法とは?
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大塚篤司
近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授 大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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