五感を使って自然とふれあう体験は、子どもの非認知能力を大きく育てるのに役立ちます。 この夏、学びのチャンスを自然のなかで。自然体験から身につく力を国学院大学教授の青木康太朗さんに伺いました。子育て情報誌「AERA with Kids 2025年夏号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【図】自然体験と子どもの学力の関係は?自然のなかで「ない」ものから工夫する経験
「自然体験は、わざわざ大自然に出かけなくても、近くの公園で虫を観察したり、川辺で石を拾ったり、身近な自然に触れれば十分。大切なのは自然に触れる機会をたくさんもつこと。五感を使って自然を味わう体験は、子どもの気づく力や豊かな感性を育みます」
こう話すのは、国学院大学教授の青木康太朗さん。かつてキャンプで子どもと触れ合うなかで、自然体験の大切さに気づいたという青木さんは、「自然のなかには、整備された遊具も、遊び方の正解もありません」と続けます。
「自然にあるのは、風の音や草のにおい、石の手触りといった、五感を通じて感じる無数の情報です。そこで子どもたちが何を感じるのかが大切で、そこから『これを使って何ができるかな?』と考え、遊びをつくり出していきます。こうした体験の積み重ねが、探究心や思考力、創造力を育みます」
また自然では、天候の変化など、思いどおりにいかないことも多く、困難に直面することも。そんなときには、がんばる力やがまんする力が鍛えられるのだそう。
「自分の力で乗り越えた経験は、自己肯定感やくじけない心を育てるうえでも有効です。親御さんは、親心で先回りせず、子どもの小さな発見や挑戦に寄り添い、見守ってください。子どもの「やりたい!」という意欲をさらに引き出すことができます」
6つの自然体験で身につく力とは?
キャンプやハイキング、昆虫採集……。自然のなかでこそ育つ力があります。六つの自然体験を通して、どんな能力が育つのかを青木さんに聞きました。
◯自然体験1) キャンプで創造力を養う
不便な環境に置かれるキャンプでは、道具を工夫して使うなどといった体験が創造力を育てます。とくに子どもだけで参加するキッズキャンプでは、子どもたちでたき火やテント設営を行うなど、ふだんできない挑戦が冒険心をくすぐり、自信にもつながります。仲間と協力する力や自制心、困ったときの状況判断力も育まれます。
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