「そんな教員の設問を受けて、『テストで遊ばないでください』なんて書いてくる子もいました。おもしろいですよね」と深村先生は続けます。問題を通じてのこうしたコミュニケーションは、高度な知的好奇心をくすぐるものだと感じます。
英語科の後藤大地先生は、「高校では定期テストの問題の半分ぐらいが実力問題になっている」と語ります。「自分が読んでほしい作品にまつわる問題を出すと、『こういうことを考えてほしい』というメッセージになります。どうせ読むならば、おもしろいと思えるものにしたいんです」といいます。
実際にどのような問題が出題されているのでしょう?
卒業生アンケートと取材から、印象に残っている定期テストの出題内容を紹介します。
▼ 物理のテストで、「エレベーターの紐が切れて時速○キロで落下し、地面に落ちる瞬間にジャンプしたらどうなったか」という問題。計算して答えを出す出題でしたが、解き方がわからず……。「死ぬ」とだけ書いたら部分点がもらえた
▼生物でカエルの解剖ばさみの絵を描く問題
▼ 物理のテストで、「運動3法則が力学を扱う上で欠かせないから、これだけは覚えてくれ。テストでも全員できるまで絶対出す」と授業でいわれ、正答率100%になるまで本当に出題され続けた。何回いっても覚えてこない生徒がいるという衝撃と、半年近く(?)にわたり根気強く出題し続けた先生に畏敬の念を抱いた
▼ 地理の白地図問題。試験範囲の地域の巨大な白地図が配られて、どんなことでもいいのでファクト情報を書き込むと加点される。ちなみに、間違えても減点はされない。最大30点でこれだけは毎回楽しく練習して臨み、たくさん点を取れたのがいい思い出
▼ 試験内容は記憶にないですが、授業を聞いているだけでは解答できない問題も多々あった
▼ 物理の定期試験は、計算問題よりも「~の原理を述べよ」という記述・考察問題が圧倒的に多かった
生徒の興味関心を引き出し、「調べてみたい」「学んでみたい」という意欲を喚起している問題が多いように感じます。
渋幕では周りから強いられたり注意されたりすることによって生じる「外発的動機づけ」ではなく、生徒が自らやりたいと思う「内発的動機づけ」を大事にしているのです。定期テストの問題にも、そんな考えが現れているように思うのです。
佐藤智

