先進的な教育で注目される、千葉県の渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(通称、渋幕)。定期テストの問題はユニークで、知的好奇心をくすぐるものだといいます。教育ライター・佐藤智さんの著書『渋幕だけが知っている「勉強しなさい!」と言わなくても自分から学ぶ子どもになる3つの秘密』(佐藤智著、飛鳥新社)から、紹介します。 

定期テストの問題は先生からの挑戦状

 みなさんはどれほど中高生時代の定期テストの問題を覚えているでしょうか?

 私はたった2つ。

 中学の理科のテストで、「クマは恒温動物なのになぜ冬眠をするのか?」。そして、同じ先生が作った問題で「ツルはなぜ片足で立っているのか?」。理科の授業で習ったことをそのまま書けばいいという類の問題ではありませんでした。

 それまでの私は、生物は暗記科目だと思っていましたが、どうやら違うらしい、とそのときに思ったのでした。定期テストの限られた時間内で必死に脳を回転させる。持っている知識と持っている知識をつなぎ合わせる。あのとき、私の脳は間違いなくアクティブに動いていたと思います。

 逆にいうと、暗記したものを吐き出すだけのテストはほとんど覚えていないものです(読者のみなさんもそうではないでしょうか?)。しかし、精一杯脳を使った問題は、苦労と楽しさがセットになって覚えているのではないでしょうか

 脱線して私の思い出話をしてしまいましたが、この脳を使う問題が渋幕の定期テストでは出題されていると実感しました。

 ある卒業生は、「先生が楽しく作った問題だなとわかります。採点も楽しいだろうなと伝わってきました。『先生からの挑戦状』のような気がしたんです。私たちが解けても多分楽しかったでしょうし、解けないなら解けないで多分ニヤニヤしているんだろうな、なんて感じていたことを覚えています」と語ってくださいました。

 実際に、「授業を持っているときは、チャレンジ問題を出したりサービス問題を出したりしていた」とイタズラげに深村誠先生(副校長)は微笑みます。

 しかし、そこでも一筋縄ではいかないのが渋幕の生徒です。

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