大学付属校の施設が充実している理由

 ランキング上位11校のうち、7校を占めるのが大学の付属校や系列校です。大学付属校の校舎や施設が充実している理由の一つとして、大野さんは「資金の潤沢さ」を挙げます。「大学付属校は、授業料や施設設備費などの学費が比較的高めの傾向があり、任意の寄付を募る学校もあります。その分、校舎の整備や施設の充実が図れるのでしょう」

 また、大学との教育連携として、付属校の中高生が大学の施設や設備を利用できることもあります。「中高では持てないような本格的な理数系の実験器具や設備を使用できる、蔵書が多い大学図書館の利用が認められている、検索機能が使える、大学のグラウンドなどのスポーツ施設を使用できるといった学校もあります」(大野さん)

 2位の山脇学園(東京都港区)は創立120年を超える伝統ある女子校で、2015年に新校舎が完成しました。2011年に設置された英語コミュニケーション施設「イングリッシュアイランド」や、実験室や顕微鏡室などを備えた「サイエンスアイランド」、2022年完成の探究活動の拠点「ラーニングフォレスト」など、独自の教育施設が充実しています。

 3位は大学付属校である明治大付属明治(東京都調布市)。5万冊の蔵書と50台のノートパソコンを備えた図書館では有料検索システムが利用可能なほか、明治大学各キャンパスの図書館も利用できます。また、コンピューターを活用して英語を学ぶCALL教室では、明治大学和泉キャンパスと同じシステムが導入されています。

ランキング外の注目校は

 そのほかの学校でも近年、図書館や自習室を新たに整備するところが増えています。「特に自習室は、生徒の要望に応えて以前より席数を増やしている学校が多いようです。個人での利用が中心ですが、グループ学習で利用しやすいレイアウトの部屋を設けている学校もあります」(大野さん)

 また、ランキングには入っていませんが、青山学院中等部(東京都渋谷区)やカリタス女子(川崎市)などでは、教科ごとに専用教室に移動して授業を受ける教科センター方式の校舎を導入しています。男子校の海城(東京都新宿区)では2021年に完成した「サイエンスセンター」に物理、化学、生物、地学すべての実験室が備えられ、さまざまな資料や標本も展示され、建物自体が教材としての役割を果たしています。

 このように、校舎や施設にはそれぞれの学校の独自の特色が反映されています。志望校を検討する際には、ぜひ実際に学校に足を運び、校舎や設備にも注目してみてください。

(文/白井裕子)

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