大学受験を目指す子には、主に総合型選抜の入試を見据えて、プロジェクトラーニングをベースにした学びを考えていく。「先生」ではなく「コーチ」が伴走して、生徒たちが今、何を考えて、何につまずいているかを引き出し、課題解決に導く形です。一方で、受験はせず、自分自身のキャリアを作っていきたいという子であれば、どういう選択肢があるかを一緒に考えていきます。
大学の「一般入試」はなくなる!? 豊かな人生をつくる学びが必要
――今までの「高校」のあり方とは大きく異なる形ですが、最も大切にしていることは?
重視するものの一つは、やはり「越境」ですね。今、自分がみている景色とは違うところに行く――。この経験量が大きければ大きいほど、豊かなキャリア形成ができるというのはデータにも表れています。
例えばリクルートワークス研究所によると、学生時代に学校外、学区外にも足を延ばし、たくさんの人と交流し、多様性を身につけた人ほど、人生の経験値が高く、豊かなキャリア形成ができるというデータが出ています。小中学校から高校で学ぶ中で、いかにいろいろな経験に触れるかが、やはり大切なんです。
――新しい学校のあり方が生まれそうですね。
そうですね。カリキュラムとしても、経験学習の促進を意識しているので、多様な生徒を受け入れられると思います。生徒は、これまでの学校を辞めて転入してくる人や、マイナースポーツの世界大会に出ている人、独学で外国語をマスターしている人など、さまざまです。子どもたちの発想や経験がバラエティーに富んでいるので、期待できる部分が大きいですね。
今後は、大学でもいわゆる「一般受験」がなくなる可能性は高いと思っていて、これまでのような授業のあり方や塾のシステムが機能しなくなる社会になってくると考えています。PBL(問題解決型学習)がメインとなる中、学校のあり方を大きく変えていくには、今回のチャレンジのように民間企業との関わりも重要になってくるはずです。最終的に目指すのはやはり、生徒たちが「豊かな人生を送れる」こと。そのサポートをしていけたらと思っています。
(取材・文/玉居子泰子)
※前編<【成田修造が「わが子に中学受験をさせるつもりはない」と語る理由は? 「良い中学に入れても、“子育ての不安”は消えない」)>から続く。