残念な猫の「ネコノヒー」や、ちょっとおバカなネズミの「スキネズミ」……。かわいい動物たちの、楽しくてときどきシュールな日常を描く漫画が大人気のアーティスト、キューライスさん。ゴジラ生誕70周年の節目に描いた新作絵本『あっゴジラ』(4月7日発売・朝日新聞出版)には、あの「ゴジラ」が子ども目線で登場します。漫画家、イラストレーター、アニメーター、絵本作家とさまざまな表情をもち、SNSもコンスタントに更新。毎日大忙しのキューライスさんは、どんな人なのでしょう。現在に至るまでの道のりや、絵本への思いを聞きました。
新作絵本『あっゴジラ』を読む(一部抜粋、全2枚)高校2年生のとき、コマ撮り動画の作品で賞を受賞しました
――キューライスさんは、どんな子どもでしたか。
子どものころから絵を描くことが大好きで、小学校では図工がいちばん成績もよかったんです。その半面、勉強はさっぱりでした(笑)。数学も得意ではないので、5点なんてとったこともありました。
それまでなにも言わずに自由にさせてくれていた両親も、それはさすがにショックだったようで……(笑)。家庭教師に来てもらったり、塾に行ったりとあわてて勉強したことを覚えています。
高校は作新学院(栃木県の私立高校)の美術デザイン科に進みました。美術部に入部して、はじめは油絵を描いていたのですが、先生がヤン・シュヴァンクマイエル(チェコのアニメーション・映像作家、アーティスト)の映画を見せてくれて、「コマ撮りって楽しそうだな」と、人形アニメーションを撮りはじめたのです。
放課後コツコツと、半年くらいかけて作った短編コマ撮りアニメーション映像が、キリンアワードというアートの公募展で奨励賞を受賞しました。高校に新聞の取材まで来て、びっくりしましたね。成績は主席で表彰もされて「中学で成績が悪いからといって、そこで失望することはないんだ」と実感しました。好きなものがあると、強いんですね。

両親は、いろいろなことを体験させてくれました
――ご両親も、キューライスさんの活動を応援していたのですね。
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