アタマジラミの卵はフケと似ていますが、フケは手で払うと簡単に落ちるのに対し、卵はしっかり固着していて引っ張ってもなかなか取れません。また、卵は少しキラキラした光沢感があります。可能であれば、自然光のあたる明るいところで見るとわかりやすいと思います。判断がつかない場合は、皮膚科へ行って顕微鏡や拡大鏡で確認してもらうといいでしょう。

アタマジラミの卵は、くしで物理的に取り除く

――髪の長さと、アタマジラミのうつりやすさは関係していますか?

 私たちのところを受診するお子さんは、短髪の男の子より、髪の長い女の子のほうが多い印象があります。なかなか治らない場合は、治療の一環として、本人が望めば髪を短く刈ることもあります。ただ、丸刈りに近いくらいの短髪でなければ駆除はできず、ショートカットくらいの長さであればアタマジラミがうつる可能性は十分にあります。

――アタマジラミが見つかったら、どのように対応したらよいのでしょうか。

 現状では、医療機関で処方できる薬はなく、市販薬を使って自宅で駆除することになります。ドラッグストアなどで、ピレスロイド系の専用シャンプーが売っています。これで頭を洗い、5分たってから流します。もう1種類、ジメチコン製剤の専用ローションもあり、これを頭に塗り広げ、やはり5分おいて通常のシャンプーで洗い流します。どちらも2~3日おきに、3~4回繰り返すので、アタマジラミの駆除には1週間から10日ほどかかります。

 なお、薬を使っても髪の毛に固着した卵や、卵の抜け殻は取れません。目の細かいくしですいて物理的に除去していく必要があります。

親のアタマジラミの見落としに注意!

――けっこう地道な作業なのですね。この間、注意すべきポイントを教えてください。

 まず大切なのは、家族全員が一斉にアタマジラミを駆除することです。きょうだいや親子は接触が多いので、だれか一人でもアタマジラミが残っていると何度もうつし合う「ピンポン感染」になり、駆除が長期化してしまいます。アタマジラミが見つかったら、家族みんなの頭をチェックしましょう。卵が見つかった家族はみんなで市販薬を使い、なるべく頭を接触しないように気をつけましょう。タオルや帽子などの共有も避けたほうがいいですね。

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