思春期の前段階にあたる「プレ思春期」になると、子どもとの接し方も変わってきます。そんなときに気をつけたい声かけについて、臨床心理士・公認心理師の松丸未来さんにお話をうかがいました。とくに「パパ」が子どもに言ってしまいがちなNG言葉とは……?

1)「あれ? ちょっと太った?」

――プレ思春期の子どもたちへの声かけについて、意識したいことを教えてください。

 からだも心も猛スピードで発達している時期です。これまでの「子ども感覚」で接すると、気まずくなることは多くなるでしょう。

 なんといっても、男女ともに「見かけ」のことを言うのはNGです。「あれ? ちょっと太った?」なんて、大人だって言われたら嫌ですよね。プレ思春期は、人と比べて自分の立ち位置を考えたり、構築したりする時期。人から「どう見られているか」はいちばん気になるところなのです。そんなときに、たとえば「ニキビは青春のシンボルだね」なんて言われても、全然うれしくありませんよね。

――軽い気持ちで声をかけても、いつもとまったく違う反応になることがあるのですね。

 そうです。心も成長していることを意識してあげたいところです。

2)「また同じ動画を見て」

 また、子どもが好きなことを否定するような言い方も気をつけたいところです。たとえば、好きなアイドルの髪型を一生懸命に真似しているのに「その前髪じゃ、なにも見えないんじゃない?」なんて。子どもの推し活やコレクションを「また同じ動画を見て」「似たようなものばかり持ってどうするの」といった声かけも同様です。大人から見ると「くだらない」と見えても、子どもが大切にしているもの。それを尊重せずに邪険に扱われては、もう話したくなくなります。

3)「男は泣くな」

 つい言ってしまいがちな「男は泣くな」といった、性差的な押しつけも注意したいところです。最近は美容に気をつかう男性もたくさんいます。そこで「そんな女っぽいもの」とビシッと決めつけてしまうのは、今の時代に考えものですね。

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三宅智佳
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