小学校高学年くらいになると、自分のことを客観的に見られるようになってきます。友人の家と比較された場合、どう答えればいいのでしょうか。10歳前後のプレ思春期の親子に多く見られる心配やお悩みについて、臨床心理士・公認心理師の松丸未来さんにお話を聞きました。

子どももちゃんとわかっています。でも、「グチ」らずにはいられないのです

<プレ思春期・親の心配事>

「『○○ちゃんの家は、毎週お出かけしている』『○○ちゃんはおこづかいをこれだけもらってるのに、うちは少ない』……と、友達と比べてばかり。『うちはうち』が通じません」(小6女子の母)

――こういうときは、いくら「お金のかけどころが家によってちがう」ということを説明しても、聞く耳を持ってくれません……。

「うちは全然テーマパークに連れて行ってくれない」「○○ちゃんの家はお金持ちだから」なんて言われると、カチンときますよね。

 でも、こういう場面で、親子が両方ともスッキリすることはなかなか難しいかもしれません。「人は人、うちはうちのやりかたがあるんだよ」という具合に正論を言うと「ほら、出た出た」という態度を示す子どもも多いのではないでしょうか。つまり、子どももちゃんとわかっているのです。

 もし正論を言ったときに、子どもが「あー、はいはい、出た出た」という態度に出そうだと予想できるなら、正論は置いておきましょう。そして「へえ、そんなお家もあるんだ。すごいね」といっしょに驚いてあげましょう。だからといって解決には至らないのですが、正論をぶつけて論破するようなまとめ方より、子どもはまだ納得しやすいと思います。

 子どもも、ほかの家と同じにできない事情は頭ではわかっていても、「うちも、○○ちゃんの家みたいだったらいいのに」といううらやましさがあるんですね。でも、それが叶わないこともわかっているので、そのジレンマや悔しさを嫌味を言うことで親にぶつけているのです。それを言ったからといって、うらやましいお宅のようにしょっちゅうテーマパークに行けるようにはならないことくらい、子どもにもわかります。

次のページへグチらずにはいられない
著者 開く閉じる
三宅智佳
三宅智佳
1 2