
思いがけない成長の瞬間に立ち会えることも
ちなみに、木村先生はずっと「無理なく食べよう」派だそう。
「無理やり食べさせることにすごく抵抗がありますし、そもそも自分の好みに応じてオーダーしたわけではないメニューを完食してと言われたら、私だって困るからです。でも、これは教員によっても考え方はそれぞれ。個人の考えとは別に、教師という役割で『好き嫌いはよくない』と指導している教員もいると思います。指導の時間でもありつつ、食事という極めてプライベートな領域を扱う給食。個人の意見と全体の方針のずれにジレンマを感じながら、日々給食に向き合っている教員もたくさんいることでしょう」
給食は、子どもたちの思いがけない成長の瞬間に立ち会えることも。
「先日、給食の時間中に突然、教室に拍手と歓声が鳴り響きました。何事かと思って聞いてみると、いつも嫌いな野菜を残していた子どもが、その日は頑張って野菜を食べたそうなのです。目に涙を浮かべながらこぶしを天に突き上げるその子の姿を見て、クラスみんなが笑顔で賞賛する。ふだん『無理なく食べよう』なんて言っている私ですが、みんなと一緒に大きな拍手を送って盛り上がったのでした」
(取材・文/AERA with Kids編集部)
AERA with Kids 2024年 春号
AERA with Kids編集部


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