「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さん。今回は映像授業で勉強している小5の娘を持つお母さんからのご相談です。

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矢萩:このご質問にはポイントがいくつかあると思います。まず、映像授業について。映像授業とオンライン授業は同じだと思わないほうがいいですね。僕はコロナの時からずっと言っているんですが、動画をみるだけの映像授業と、インタラクティブ(双方向)なやり取りがあるリアルタイムでのオンライン授業は全然違います。

安浪:ここで相談されているのは、矢萩さんのおっしゃるうちの前者ですよね。教科や単元ごとに動画があって、好きな時間に見て勉強するタイプですね。

矢萩:そうですね。どちらも子どもは画面をみているので、親から見ているとそんなに大きく変わらないように思えるかもしれません。リアルタイムのオンライン授業でも積極的に発言しない子だと、見た目は映像授業をみているだけと変わらないです。でも頭の中で起こっていることは全然違うんです。明確に「これを学びたい」という意志がある中高生だったら、映像授業は効果があると思います。何度も巻き戻してみることができますし、それができるのが映像授業のメリットでもあると思うので。しかし、小学生だと正直難しいかな、と思います。

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安浪京子
中学受験専門カウンセラー/算数教育家 安浪京子

やすなみ・きょうこ/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社)。オンラインサイト「中学受験カフェ」主宰。

矢萩邦彦
中学受験塾塾長 矢萩邦彦

やはぎ・くにひこ/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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