――ちなみに、コウメさんは学生時代、勉強はいかがでしたか?

 まったくダメでした。親が教育熱心で、子どもの頃は科目別に4人とか5人の家庭教師の先生がいましたが、全然できるようにならなかった。やって出来たら好きになれたのかもしれないけど、1日7時間、8時間勉強しても成績が上がらないから、あきらめました。小さいころに父が亡くなり母子家庭で育ったので、母に心配かけたくないっていう思いはあったんですけど「勉強はもういいや」ってなっちゃったんですよね。

――芸人になることについて、お母様からの反対はありましたか?

 僕は初めから芸人を目指していたわけではないんです。小学校高学年の時に「スリラー」のミュージックビデオを見て以来、マイケル・ジャクソンに憧れて、家でもずっとダンスの練習をしていたら、「そんなに踊ってばかりいるなら、劇団にでも入りなさい」って、母のほうから言われたんですよ。

 それで劇団には入ったものの、2年で辞めて、そこから芸人の道に進んだのですが、なかなか売れなくて。当時、心に残ったのが、母の再婚相手から言われた「成功したいならば、人と違うことをやれ」ということ言葉でした。事業で成功している人だったので、説得力があったんですよね。結局、「エンタの神様」で注目してもらうようになるまで8年かかりましたが、その言葉は今も僕の芸人としての軸になっているような気がします。

(構成/木下昌子)

【後編を読む】コウメ太夫に聞く、私立校の特進クラスに進学した息子に望むこと「勉強ができるのは素晴らしいけど、そこに期待はしていない」
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木下昌子
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