調査を見ても過去数年の傾向とあまり変わらず、現場にいる方たちからも「いじめの低年齢化」と「不登校の認知の高さ」が増加要因だという、旧来の見解といっしょでした。ただし唯一異なるのは「人間関係で衝突する子が多い」という現場の声でした。学校と生徒、あるいは生徒間で衝突し修復できない状態でフリースクールや相談窓口に来ている、と。ここからは推測ですが、これだけ不登校が増加しているということは、数字のうえでは現れない「登校しぶり」はもっと多くなっているはずです。学校の先生たちは、日々、増えていく不登校、登校しぶりに対してキャパオーバーになり、学校間、同級生間でトラブルが起きても修復できない状態がなったのでは、と私は考えています。
子どもの事情を学校が把握できていないケースが多数
――文科省の調査によると、不登校の理由の第1位に「やる気が出ない」とあります。これは実際にはどのような状態なのでしょうか?
実はこの調査結果は、児童・生徒ではなく、学校の教員が「把握している事実」として回答したアンケート結果に基づいたものです。「学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった」という答えが小中学校で32.2%と最多。次いで多いのが「不安・抑うつの相談があった」で23.1%、「生活リズムの不調に関する相談があった」で23.0%です。
ただし、ほとんどの場合は、子どもが「やる気が出ない」と答えたわけではなく、「頑張って学校に行こうと思っても、行くことができない」とか「学校生活にどうしても気力が湧かず、楽しみを感じられない」という状況なのではないかと。実際は、そうした子どもたちの状況を見て、学校側が「やる気が出ない(無気力)」と判断し、答えたということだと考えられます。結果を見て「やる気が出ないから学校に行かない(行けない)」と単一的にとらえるだけでは問題の本質にたどり着けないと思います。
「やる気が出ない」というのが一番多い回答になっている、つまり、先生がうわべの現象だけしかとらえられておらず、解決の糸口が見つかっていないというのも増加背景の一因ではないかと見ています。
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