学校と子どもの「マッチング・トラブル」が顕著に

――小中学生の子どもたちが、親や教師から見て「無気力」になってしまう原因はどこにあるのでしょうか。

 表面的にはただやる気がないように見えても、その理由や原因は人によってさまざまです。例えば、いじめなど何か理由があって学校に行けないという子もいるでしょうし、そもそも、特性として、集団生活が合わないという子もいます。

 そういった子たちが無理に学校に行こうとすれば、毎朝起き上がれないほど疲れてしまうのは当然ですよね。本当は、不安や抑うつを抱えて苦しんでいる子も少なくないのに、学校や先生が「無気力」というとらえ方をすることで、本当の問題や実態を把握できず、子どもたちが抱える困りごとと、学校側の理解が乖離(かいり)しているケースも多いのではないかと懸念しています。

――なぜ、学校に行くことにつらさを抱え込んでしまう子が増えているのでしょう?

 一つはやはり、学校と子どもとの「マッチング・トラブル」が起きていることが考えられます。学校で求められていることと、子どもたちの状況が合っていない――従来の学校や授業のあり方にマッチしない子が一定数いるということです。

――学校との「マッチング・トラブル」とは具体的にどんなことが挙げられますか?

 最も多いパターンとしては、教室での大きな音や声の問題が考えられます。教室での大きな声や音、先生の怒鳴り声が耐えられないほど苦痛だと感じる子もいます。でも、30人、40人もの児童・生徒が集まっている場所で授業をしていたら、もちろん先生の声も大きくなりますし、教室の音もうるさくなりますよね。

 それに耐えられる子は問題ないのですが、中には、どうしてもそういう状況が苦痛だという子も確かにいて傷ついてしまい、勉強どころではなくなることがあるんです。そういった意味でも、学校とその子がマッチしていない、と言えると思います。ほかにも「集団生活が苦手」「授業のスタイルが合わない」「校則が合わない」などの問題が考えられます。

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