親はあまり先回りしないようにしてください。焦りは禁物です。「もう中2なんだから今から勉強しないと高校に行けないよ」というような𠮟咤激励が本人を追い詰め、かえって本人が動けなくなってしまう失敗を何度も見てきました。本人はのんきそうにふるまっていても、心の中は不安と心配が渦巻いていたりします。考えていないわけではなく、でもどうすることもできないし、選択肢も見つからずに立ち往生している状態の子が多いです。

 そんな子に対して親にできることは何でしょうか。本人が「自分でも行けるような高校はあるのかなぁ」と悩み始めたときに、「こんなところもあるらしいよ」と資料を見せてあげるくらいでしょうか。「自分の人生だから、あなたがどうしたいか決めたらいいよ、困ったことがあったら、父さん母さんに相談してね」というふうに伝えられればいいですね。

 高校に行くことだけがゴールではありません。人生100年時代、子どもの人生はまだまだ長いのです。

※正式名は「高等学校卒業程度認定試験」。受験年度内に16歳以上になる大学入学資格のない人が受けるもので、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定する。実施は8月、11月の年2回。合格者は大学などを受験できるようになる。

「なぜ学校に行けないの?」と聞いても、子どもが「わからない」と言うのはなぜ? 不登校で“原因探し”より大切なこと
マンガでわかる! 学校に行かない子どもが見ている世界

西野 博之,來來珈琲店

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西野博之
西野博之

1960年、東京都生まれ。認定NPO法人フリースペースたまりば理事長。川崎市子ども夢パーク、フリースペースえん。川崎若者就労・生活自立支援センター「ブリュッケ」など、各事業の総合アドバイザー。精神保健福祉士、神奈川大学非常勤講師。86年より学校に行かない子どもや高校中退した若者の居場所づくりを行う。

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