ただ最近思うのが、引きこもり体質みたいな部分は、変わっていないんじゃないかって。休みの日に誘いがあっても断るし、断り続けた結果今は誘いもないですし(笑)。キャンプとか趣味を見つけて何かをするということもありません。

 ラジオの世界では「オフの日はしゃべることを作るために一生懸命に動きましょう」という風潮が薄ら漂っているんですが、僕はそんなこともしてない。社交も趣味もないですし(笑)。駄目だなと思うんですが、まあ、それでも3時間のラジオの生放送を週に2本、自分の番組(「髭男爵 ルネッサンスラジオ」)も週に1本と、続けられているんで、いいかなと。

――子どもの不登校に悩んでいる親に、伝えたいことはありますか?

 親には親の人生がありますから、自分の趣味や楽しみを続けてほしいと思います。子どもが引きこもっているからといって、自分の趣味や楽しみを捨て去ると、家全体が沈み込んでしまうと思うんです。

 子育ての何が大変かって、子どもが生まれた日から、昨日の自分とさして変わらない自分が、1人の人間の面倒をみる責任を負うこと。それでも周囲は、「もう親になったんだから・・・・・・」と妙にハードルを上げた目線で口を挟んでくる。親になったからといって突然徳が上がるわけではないですし、聖人になったわけでもない。子どもに対して親ができることは限られている、出来ることは少ないんだ、くらいのスタンスでいいのかもしれないと思っています。自分でハードルをあげて、苦しむのはよろしくないですね。

――当事者である子どもたちにもメッセージをお願いします。

 今は頭の中が忙しくて、しんどくて、へとへとになっているかもしれない。でも可能性を1つ、つぶせてよかったねと言いたいですね。大人は安易に、「君たちには可能性が無限にあるんだよ」と、言ってしまいがちですが、無限の可能性を前にしたら、実際は人は身動きなどとれません。自分に向いていないこと、できないことを若いうちに見つけて可能性をどんどんつぶしていくのって大事なことだと思う。

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