もともとOSのバージョンが高い子というのは、どのような傾向があると思いますか? 実は、小さいときからすでにその片鱗は見せていて、3歳にしてすでに「抽象的な質問をする」傾向にあるのです。

 たとえば、「ママ、人は何のために生まれてきたの?」ということを聞いてきます。哲学的、抽象的質問です。普通の3歳の子どもは、もっと具体的な質問をしてきます。たとえば、「ママ、このアンパンマンに出てくるこれ、名前なに?」のような質問です。

 中学受験塾でトップクラスにいるような子に共通するのも、この抽象度の高さであることがこれまでの数々の調査でわかっています。もちろん例外はあるでしょうが、おおむねこのような傾向があるのです。

 繰り返しになりますが、抽象度の高い質問ができる子は、ピラミッドの上から下を見ているようなものなので、下の“世界”がすべて見えています。

 したがって、勉強をするときも、問題をいくつか解いただけでコツをつかみ、さらにそれぞれの違いも認識することができるのです。

 前置きが長くなりました。では、話を元に戻しましょう。「抽象度が大切なことはわかった。そして、抽象度を上げるのは、誰でもできることもわかった。では、どうするのか?」という話です。これも、「声かけ」によって劇的に変わります。次のマジックワードを問いかけることで、抽象度を引き上げることができるのです。

 それが、「要するに、何だろう?」です(類似の言葉:「簡単に言えば?」「共通点は?」)。

OSをアップデートするマジックワード 「要するに?」(抽象化思考力)

 人は「要するに、どういうこと?」と問われると、枝葉をそぎ落として、幹だけを選択するようになります。つまり、「まとめる」という作業を自動的に行うようになるのです。

 先ほどの犬の例で考えるとわかりやすいでしょう。「チワワって要するに何?」と問われれば、「犬」となります。「犬って要するに何?」と問われれば、「哺乳類」となりますね。このように、「要するに?」と問われると、抽象度が上がっていくのです。

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