同じように授業を受け、勉強をしているはずなのに、なぜテストの点数が違うのでしょうか? 教育評論家の石田勝紀さんは、「地頭がいい」と言われる東大生に見られる特徴の一つに「抽象度が高い」ことをあげています。抽象度を上げるためにはどうすればいいのか、著書の『同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から紹介します。

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東大生は、「抽象度」が高い?

 私は、東京大学の修士課程、博士課程に行っていたときに、多くの現役東大生と話をしました。そのとき感じたこと。その1つが、彼らの「抽象度の高さ」です。「一を聞いて十を知る」というのがまさにそうで、彼らは具体的な話を聞くと、それを抽象化させて理解し、一般化していくことができます。

 東大生は、センター試験(現在の大学入学共通テスト)でも全教科で高得点を取り、さらに2次試験の難解な問題でも多教科、多分野にわたって高得点を取っていくという離れ業をやってきた人たちです。

 もちろん、受験勉強は相当したでしょうが、科目数が多く、しかもハイレベルな問題が解けるようになるまでには、数限りない問題をひたすら解いていったのではなく、いくつかの具体的問題を抽象化させて、「ルール化」「パターン化」するのが自然とできていたということが背景にあるはずです。

 社会人であれば、できる人は異動によって部署が変わっても、それまでと同じように高いパフォーマンスが発揮できる理由がここから説明できます。

 つまり、はじめての部署で高いパフォーマンスを出している人は、その「具体的仕事」から抽象度を上げて、「一般化」「ルール化」することができます。そして、新しい部署に着任したら、それを新しい仕事に適用しているだけの話なのです。

 一方、抽象度の低い人は、「一般化」「ルール化」ができないため、すべて具体的仕事と考えてしまい、一からやり直すという発想しか持ち合わせていません。これは、まさにすべての種類の数学の問題をマスターしないと受験では高得点が取れないと考えている受験生と同じで、非常に苦労するパターンなのです。

 では、次に気になるのは「抽象度を引き上げられるようにするにはどうしたらいいか?」ということになりますね。OS(=「地頭」)は生まれつき初期のバージョンが決まっていて、人によってまちまちのものです。

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石田勝紀
石田勝紀

教育評論家。教育デザインラボ代表理事。2016年からカフェスタイルの勉強会「Mama Cafe」を展開。全国で年間130回以上、累計1.3万人以上のママたちが参加。近著 『子どもを育てる7つの原則』(大和書房)、『のびる子はやっている最大効果を出す〜小学生の勉強法』(新興出版社)ほか著書多数。

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