都市部を中心に人気が続く中学受験。首都圏の受験率は2024年、過去最高を更新しました。中学入試や中高一貫校の最新トピックを紹介するAERA with Kids+の連載。今回は、中高一貫校の学費や、それ以外にかかるお金について。中学受験情報誌「進学レーダー」前編集長の井上修さん(現・日能研入試情報室室長)が解説します。
【表】都内で授業料・初年度納付金が「高い」学校「低い」学校はどこ?(全4枚)私学の学費平均は?
私学の学費は「授業料」「入学金」「施設費」「その他」の4項目からなります。東京都生活文化スポーツ局私学部私学行政課が毎年まとめている、都内私立中学の学費平均値を別表1に示しました。4項目を合計した「初年度納付金」は、2023年度は98万9125円、24年度は100万9362円です。ただしこの「その他」は学則で定められた変動しないもの。実は各校ともこれ以外に業者に納めるもの(副教材費)や、積立金など(修学旅行等)、状況により変動する費用がかかる場合があり、実際はこの表の初年度金額より高くなります。
頌栄女子学院を例とすると(別表2)、6年間の総額で500万円前後、1年だと86万~87万円程度、月々に慣らすと7万台円程度を払うイメージです。(徴収回数は各校で異なる)。これは標準的かやや安い学費と言えます。
大学系、国際コースは高めのところも
大学系私学は学費が高い場合も多く、年間の「授業料」だけで80万円以上となる場合もあります(慶應義塾中等部90万円など)。国際コースの場合も高くなる傾向があります。例えば、玉川学園中学部(IBクラス)は135万1000円、上野学園(国際コース)は135万円です。これは国際コースの場合、ST比(教員1人当たりの生徒数)が高くなるという点もあるのでしょう。ただ、国際理解教育を重視していても、北豊島の36万円のように安いこともあるので一概には言えません。
公的な学費の補助制度は東京都がすごい
なお、高校部分では、公的な学費の補助制度があります。年収制限がある場合が多いのですが、東京都の場合は、今年2024年からなんと年収制限が撤廃され、東京都内私立高校平均授業料相当額(48万4000円)を上限に支給されることとなりました。この効果は大きく、本稿とは直接関係ありませんが、おそらく高校受験でも私立人気が高まる可能性が高いでしょう。
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