グローバル化といわれる現代ですが、子どもたちは想像以上に狭い世界で日常を過ごし、社会とのつながりが希薄になっています。子どもがよりよく生きるためには、多様な価値観に触れ視野を広げることが重要であり、旅はその絶好の機会となります。

MENU 子どもの日常は「狭く偏った」世界 子どもと社会との接点を増やし、視野を広げてあげる 旅でのコミュニケーションを大切に まとめ おすすめ“旅育”体験×リゾナーレ大阪 

子どもの日常は「狭く偏った」世界

 子どもは身近な大人の姿から社会を知り、影響を受けて育ちます。一昔前は、名前は知らないけれどあいさつを交わす「顔見知りの大人」が身近に多く、日常生活を通じて社会の多様性に自然と触れていました。では昨今はどうでしょう?

 私が講師をするセミナーで「日常で子どもの周りにいる大人の数(保護者を含む)」を調査したところ、「5人以下」が76.5%と多数を占め、続く「6~10人(14.7%)」を合わせると90%を超える結果になりました。グローバル化が進む一方で、リアルな生活の場では、親や先生など数人の大人に囲まれた、偏った世界で子どもたちは日常を過ごしています。理由としては、核家族化が進み、近所づきあいや地域の行事も少なくなるなど、ライフスタイルの変化が挙げられます。さらに防犯上の理由から、「知らない人とは話してはいけない」と子どもに言わざるを得ない現代、日常で子どもが社会とのつながりを深めることは容易ではなく、あえて機会を持つことが必要だと感じます。

子どもと社会との接点を増やし、視野を広げてあげる

 子どもの日常が狭いということは、関わる親の責任も大きくなります。でも、親も苦手なこともあれば、考え方の偏りもあります。判断を誤ることもあるでしょう。また親子といえども独立した存在であり、考え方や興味・関心も違って当たり前です。

 そう考えると、親が気負って頑張りすぎるのではなく、多くの人と関わりさまざまな考え方があることを知ること……子どもと社会との接点を増やし、視野を広げてあげることが大事だと思いませんか?

 さらに子どもは自分の周りの狭い日常がずっと続いているのが社会だと思いがち。そのため日常のささいなつまずきが乗り越えられなかったり、他人と比べ違いに悩んだり、時に絶望的な気持ちに陥ってしまうこともあります。現実には、日常ではマイノリティー(少数派)でも、場所がかわればマジョリティー(多数派)になったり、同じ考えや志向の人と出会えたりすることも多いもの。旅を通じて「自分の日常は、広い社会のほんの一部」だということを体感で学ぶことは、変化が激しく多様な世の中で、自分らしく、たくましく生きるための大きな力になります。

次のページへ旅は社会を知る絶好の機会
著者 開く閉じる
村田和子
旅行ジャーナリスト・旅育コンサルタント 村田和子

旅行ジャーナリスト・旅育コンサルタント。旅育メソッド🄬提唱者。旅で「人・地域・社会」が元気になるをモットーに活動。多数のメディアで執筆・出演するほか、講演やコンサルも実施。著書に『旅育BOOK~家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ』(日本実業出版)。

1 2 3