旅でのコミュニケーションを大切に

 旅では、初対面の人と言葉を交わす機会が自然と多くなります。宿や観光施設、飛行機や電車のスタッフなど、子どもが安心できる環境で、日常とは異なる「大人」と交流し、社会や多様性を知るチャンスです。

 例えば飛行機に乗ると、客室乗務員がドリンクの希望を聞いてくれます。大人同様にもてなされる経験は、子どもにとっては新鮮で、自分が認められたようでうれしいものです。自ら飲み物を選び、伝えサーブされれば、自然とお礼の言葉がでてくることも。ところが子どもに問いかけても、「この子はお茶で」と代わりに答える親御さんも多く、実にもったいないと感じます。

 ささいなやりとりでも他者とコミュニケーションをとることで、子どもは身近な親との反応や考え方の違いに気がついたり、琴線に触れるものと出合ったりすることもあります。社会を知る貴重な場だと認め、親を介してではなく、子どもが直接コミュニケーションをとることを大事にしましょう。

まとめ

 息子と親子で旅をするなかで、日常では気がつけない「子どものいいところ」を見つけて褒めてもらうことが多くありました。離れた関係、あるいは価値観や視点が違うからこそわかる、子どもの可能性や良い点があることに驚いたものです。他者と我が子が接する様子をみることで、自身の子育てを振り返りヒントを得ることもありました。

 繰り返しになりますが、子どもの世界は狭く、身近にいる親の責任は大きくなっています。そして親も完璧ではありません。大事なのは、「しっかり育てなくては」と肩ひじを張ってがんばることではなく、子どもの視野を広げ、人生の選択肢を増やしてあげること。子どもに「親を超えて立派になり、幸せな人生を歩んで欲しい」と願うのなら、なおさら抱え込まずに上手に他者を頼り、旅という社会を知る場を活用してみてはいかがでしょう?

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