土曜の朝、家の前でカマキリを見つけました。10センチ近くはある大物。中学生の娘たちは「怖い」「キモい」と大騒ぎでしたが、小1息子は目を輝かせ「捕まえよう!」。さっそく虫かごに入れ、エサを探しに近くの公園に出かけました。

 調べると「カマキリは動く虫ならいろいろ食べる」とのこと。二人で汗だくになって、バッタ、シジミチョウ、黒いテントウムシなどを捕まえました。カマキリと一緒のかごに入れ、「どれを食べるかな」「テントウムシはかたいから食べないんじゃない?」などと言いながらしばらく観察。あいにく捕食する瞬間は見られませんでしたが、獲物を狙う姿はなかなかの迫力でした。

 息子が観察好きになったのは2年前。最初はダンゴムシでした。子どもが理科好きになるアイデアをたくさん持っている辻義夫先生から、ダンゴムシは捕まえやすいし毒もなく、動きも面白いから観察にぴったり、と教わったのがきっかけでした。当時外遊びの時間を持て余していたので、「暇つぶしに」とやってみたらハマりました。

 観察にはたっぷり時間をかけます。「この色が違うやつは何だろう?」「足の数はみんな同じなのかな?」「なんでこれだけ違う方向に歩いていくの?」――じーっと見たり触ったりしているといろんな不思議が生まれてきます。同じものを見ているはずなのに、息子と私で疑問に思うところが異なり、互いに「たしかにそれはなんでだろう?」などと言い合っていると、20分や30分はあっという間です。

 実は観察に夢中になっているのは親の私のほうです。日ごろの雑事を忘れられるし、生きものの賢さ、したたかさに心を奪われます。虫に興味がない子ども時代を過ごしたため、知識を得るたび「そうなんだ!」と子どもと同じ目線で驚きを共有できるし、息子から教えてもらうこともしばしばです。

 息子の虫好きがいつまで続くのかわかりませんが、興味があるうちはいっしょに楽しもうと思います。

(編集部・鈴木顕)

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AERA with Kids+編集部
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