親が一方的にルールを決めてもうまくいかないし、子どもの「自主性」も育ちにくくなりますよね。子どもがルールを決めることが大切です。これも精神科医の話になりますが、子どもが決めたルールを守れるように親がサポートするといいそうです。

 そうは言ってもなかなかうまくいかないこともあると思います。これは私からの提案ですが、いっそのこと、いったん「自分の好きなように、デジタルフリー」にしてみるのはどうでしょうか。子どもが「こんなことできたよ」って見せに来たら、ゲーム画面ではなく「子どもの表情」を見てみてください。達成感いっぱいの顔をしていたりするので。「全部自由にやっていいよ」と任せるほうが、やりたいだけやり切って「お母さん、散歩行こう」などと子どもが自ら離れられるようです。「この子にとって、今はこれがいいんだな」と思って見守っていると、やがて成長を感じるときが来ると思います。

心配な日々はいつか終わりが来る

 こんなに毎日ゲームや動画ばかりして大丈夫なのか、今は心配な日々が続くかもしれません。でも、今はゲームや動画に没頭している子たちも、そのうち飽きて「現実の世界のほうが面白い」「もっと面白いことが他にもあるはずだ」と社会に出ていく日が訪れるはずです。

 そのときに本当の意味で、「不登校で受けた傷」が癒やされて、爆発的な力を発揮していける。そこで力になるのが、「あのとき、お父さんやお母さんが黙って見守ってくれていたな」という愛情です。たぶん30歳くらいになったら気づきます。10代のうちはまだまだ気づけないかもしれませんが……。ですから、「今の子どもの状態」だけで判断せず、長い目で見守ってほしいなと思います。

(構成/布施奈央子)

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること (ポプラ新書 い 9-1)

石井 志昂

「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること (ポプラ新書 い 9-1)
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石井志昂
石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、中学2年生から不登校。フリースクールに通ったのち、NPO法人で、不登校の子どもや若者、親など400名以上に取材。現在はNPO法人を退社しジャーナリストとして活動中。著書に『「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること』(ポプラ社)『フリースクールを考えたら最初に読む本』(主婦の友社)。

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