古代オリエントの学校の教育活動を構想

 世界史の授業を受けるのは、先述の遠足を間近にひかえた高校2年生たちで、古代オリエント(エジプト文明とメソポタミア文明)を勉強中。それぞれに文字が使われ、産業が興り、その時代の最先端の技術や宗教、美術も生まれていることなどを学んだところだ。

 こうした基本事項をふまえたうえで、梨子田先生が投げかけた問いが、古代オリエントに学校をつくるプロジェクトというテーマ。

「古代オリエントにも学校のようなものがあったようです。では君たちならどんな学校をつくりますか。この時代に必要な教科とは何だろう。試しに、現在のような時間割のかたちでまとめてください」

 さらに先生は、同時にこうした問いも提示した。

「そもそも古代と現代では、学校が社会の中で担う役割が異なるように思われます。その違いは何だろう?」

 地理的にも時代的にも文化的にも現代の日本とは遠く離れている古代オリエント。とっつきにくい時代を「学校」や「時間割」という、自分たちに身近なテーマでとらえ直そうというわけだ。現代と比較するには、教科書や資料に書かれている内容をただ覚えるのではなく、それを材料に考える必要が出てくる。

「学校」で古代と現代と未来がつながる

 遠足では「未来の学校」を、世界史では「古代の学校」を考えてもらう。梨子田先生の言う「学校生活の中に考えるスイッチをあちこちにちりばめる」という言葉に合点がいく。おそらく生徒たちも気がついているのでは?

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