生徒自身が問いを生み出す仕掛けづくり

 生徒たちに投げかけている問いを「小学生に求められる力とは」ではなく、「未来の小学生に求められる力とは」にしているのもポイントだという。

「そうすることで『未来の社会とは?』『今求められている力は本当に未来でも必要なの?』と、生徒が新たな問いを生み出すようになります。これも探究の仕掛けですね」

 発表の内容はさまざまだ。事前学習では、アドベンチャーワールドにいるペンギンになぞらえて『ファーストペンギン力』と考えた班もあれば、『推し動物を作って多様性を認めあう力』といった提案も出た。事後の感想では『単なる受動的に学ぶのではなく、社会と関わり与えることのできる存在になれる』というものもあった。

「大切なのは、生徒が本気で考えること。そしてそのスイッチを学校生活のあちこちにちりばめること。校外でも校内でも、探究活動で求められる力を養える機会をつくるようにしています」

 そう語る梨子田先生は「学校をつくる」というテーマを、教科学習に展開していく。それが、次から紹介する世界史の授業だ。

遠足当日のワークショップには2025年に和歌山の熊野に開校予定の小中一貫校「うつほの杜学園」の小佐田裕美事務局長も参加(写真/福西敏之)
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