通産省勤務の傍ら、大学生たちを集めた私塾「すずかんゼミ」を立ち上げ、世界で活躍する人材を輩出してきた東京大学教授・慶應義塾大学特任教授の鈴木寛さん。OECD Education 2030プロジェクト 前アドバイザリー・グループメンバー、日本サッカー協会前理事などを務め、いまなお、テクノロジーや国際情勢など、これからの世の中について、学生たちと対話を重ねています。そんな教育界のご意見番に、これからの時代を生きるために必要な力や、親が大切にすべきことを伺いました。AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2025」(朝日新聞出版)から抜粋して紹介します。

MENU 「夢中力」が自己肯定感を高める 自分の”真骨頂”を発揮できることが大事 豊かさの指標はWell-beingへ

「夢中力」が自己肯定感を高める

――国境を越えて学んだり働いたりするのが当たり前の時代になりました。子どもたちが将来、他国の人と何かを成し遂げようとするとき、求められる力とは何ですか。

 これからの時代、日本人だけの同質なチームで何かを成し遂げることはほぼありません。多様なバックグラウンドの人たちとチームを組むときには、知識・技能は必要ですが、協働する態度が求められます。その態度は子どものころからいろいろな友達と一緒に過ごすことで鍛えられます。

 もう一つの流れがITです。AIの技術が進み、AIが人間の知性を上回る「シンギュラリティー」がやってくると言われています。その時代を生き抜くには、AIにはできない力を身につけておく必要があります。その一つがアートであり、対人コミュニケーションや哲学も含まれます。

 アメリカの研究では、「今の小学生の6割以上が今までにない仕事に就く」と言われています。これまで一部の人が対象だった起業家教育が、すべての子どもに必要になってくるかもしれません。

――幼少期~小学生時代は人生の土台とも言われ、育った環境がその子にとって「普通」になります。この時期に親は何を大切にすべきですか。

 幼少時の自然体験が、後の自己肯定感に直結することが研究で明らかになっています。ほかにもお手伝いや、いろいろな人と関わる社会体験も大事です。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子
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