太陽風は、光よりもはるかに遅い秒速400~800㎞の速度で飛んでくるので、フレアの発生から3日くらい後に地球に到達する。大規模なフレアからは強い荷電粒子が大量に放出される。それが届く先の地球は、南極をN極、北極をS極とする磁石なので、磁力線(地球が持つ磁石のはたらきによりできる)におおわれている。太陽からの荷電粒子はこの磁力線にそって進み、その一部が北極や南極の上空に入り込む。そして、空気を構成する酸素や窒素に衝突したときに光が出る。これがオーロラだ

 今回のように続けて大規模なフレアが発生し荷電粒子が多いときは、北極・南極の近くだけでなく、低緯度地域まで荷電粒子が入ってくる。そのため、日本でもオーロラが観測されたというわけだ。

オーロラができるしくみ。太陽風は地球の磁力線にそって進み、主に地球の裏側から回り込んだ荷電粒子が北極や南極の上空に入り込み、酸素や窒素と衝突したときに光が出てオーロラが見える(図版/マカベアキオ)

 この荷電粒子も、通信に障害を及ぼしたり、発電所や変電所などの電力設備を壊して停電を引き起こすことがある。そのため、通信や電力に関わる人たちは、太陽フレアを始めとする太陽の活動に常に注意を払っている。

来年は太陽がさらに活発化! 大規模なフレアは「通信障害」の可能性も⁉

 太陽の活動が盛んな時期を極大期といい、およそ11年周期で訪れる。多くの研究者は来年が極大期と考えているので、大規模なフレアは今後も増えるかもしれない。それに伴って通信障害などの心配はあるが、私たちの健康に直接の影響はないとされている

 ところが過去には、最大級のフレアの千倍~数万倍以上のエネルギーをもつ「スーパーフレア」が発生していたらしいと考える研究者がいる。太陽系外の恒星では、実際にスーパーフレアが発生していることもわかってきた。もし、太陽でスーパーフレアが発生すると、危険な放射線が地上に届いて、生物が絶滅するおそれがあるという。……心配になるが、これまでに太陽でスーパーフレアが発生したという証拠は見つかっていないので、ひとまず安心しておこう。

次のページへ太陽を観測するポイント
1 2 3