でも、そこからが大切。親は、子どもの質問に対してきちんと説明できるようにしておきましょう。そして、次に扉を開けるのは親側から。「ねえねえ、この前の質問、お母さんなりに調べたの。いつでも説明するから言ってね!」と、子どもに「こちらは準備オッケーだよ!」という招待状を出すのです。あとは、それを受け取った子どものペースに任せましょう。「あなたのペースで、あなたに必要な情報をこちらは提供するよ!」というスタンスがベストだと思います。 

 「お母さんたちの時代は、同性婚はできなかったの?」って言われたい!

――今の子どもたちが大きくなるころ、どんな世の中になっているといいな、と思いますか?

 今、アメリカであるお母さんがSNSに投稿した話題がバズっているんです。11歳の娘がスクールバスで学校から帰ってくる途中で、はじめて生理になったときのエピソードです。バスで隣に座った14歳の男の子が、女の子にそっと「ズボンに生理の血がついてるよ」と教えてくれたのだそうです。女の子が恥ずかしくてあわててしまったら、男の子は「僕の上着、使わないから腰に巻いて帰って」と、シャツを脱いで渡してくれました。女の子は恐縮して断ろうとしたのですが、男の子は「いいのいいの。僕はお姉ちゃんが二人いるから、わかってるんだ」と言ったのだそうです。

 女の子は上着を腰に巻いて家に帰って、この話をお母さんにしました。そして、お母さんは「バスで娘に声をかけてくれた14歳の男の子のお母さんに届け! あなたは素晴らしい子を育てている!」と投稿したのです。「はじめての生理で、ともすればトラウマになったかもしれない出来事を、あなたの息子がポジティブなものに変えてくれた」って、素晴らしいエピソードですよね。

 私も、これを読んで「これ! こういうこと!」と思いました。私たちが育てている次の世代は、このエピソードが当たり前になる世の中を生きてほしい。ですから、幼稚園のころからプライベートゾーンの話もするし、からだのパーツ、生理の話はもちろん、いろんなジェンダーやセクシャリティ……さまざまな考え方を、性教育を通して伝えていくことが大切だと思っています。

NEXT子どもの将来のために、私たちがやるべきこと
1 2 3 4