6月中旬、東海道新幹線の開業60周年を記念しておこなわれた「親子向けイベント」に行ってきました。

 JR東海が企画し、各地から集まった54組の小学生親子が参加。新幹線にまつわる「お仕事体験」と、親子で旅のプランを考える「旅育」ワークショップの2本立てで行われました。

 会場は静岡県三島市にあるJR東海の「総合研修センター」。運転士や車掌が実際に研修で使う施設とあって、運転シミュレーターや、実際の新幹線の車両の一部、駅の窓口できっぷを発券する機械など、本物さながらの設備がそろいます。お仕事体験では、現役の運転士さん、車掌さん、駅員さんらのアドバイスを聞きながら、子どもたちがさまざまな業務を経験。普段は見られない新幹線の“裏側”に、子どもはもちろん、親たちも興奮気味でした。

制服を着て敬礼(写真提供/JR東海)
きっぷを発券(写真提供/JR東海)

旅が子どもを成長させる

 そしてこのイベントのもう一つのテーマが、「旅育」です。

 「旅育」ということば、みなさん耳にしたことはありますか? 食を通じた教育を指す「食育」と同様、旅を子どもの教育としてとらえる考え方です。

 たとえば、旅先で見たものや体験したことに感動し、もっと知りたいという「知的好奇心」が芽生えることがあるでしょう。あるいはキャンプや山や海での自然体験では、計画通りにならないことを経験し「生きる力」が磨かれるかもしれません。旅には、子どもたちの成長につながる要素がたくさん詰まっています。

 この日開かれたワークショップでは、親子数組ずつのグループにわかれ、旅の目的地となるエリアの魅力をみんなで出し合いました。そこで出された意見を参考にしつつ、親子で話し合って旅のプランを考え、1枚の画用紙にまとめます。それをもとに「どんな目的の旅をしたいのか」「どこに行くのか」「新幹線のどんなルートを使うのか」を、子どもたち一人ひとりが発表しました。

旅先に選んだエリアの魅力をみんなで出し合う

 旅行ガイドをめくりながら自然と地理や歴史の知識を深めている高学年の子。やりたいことを言葉や絵にして一生懸命プレゼンしている低学年の子。「旅育」ということばからは、親や大人が子どもに「学ばせる」ことを連想しがちですが、子どもがワクワクしながら「自然と学んでいる」姿が印象的でした。また、旅に行く前の計画を立てる段階で、これだけ多様な学びを経験できるというのも発見でした。

 このイベントで講師を務めたのは、旅行ジャーナリストの村田和子さん。AERA with Kids+では7月から、村田さんによる連載「旅育のすすめ」が始まります。ご期待ください。

(編集部/鈴木顕)

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AERA with Kids+編集部
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