私はちゃんとした親になれる自信がない――。毒親に育てられた作者つつみさんが、母になる不安や育児の悩みについて描いたコミックエッセイ『毒親に育てられた私が母になる』(KADOKAWA)が、話題を呼んでいます。毒親と絶縁し、結婚、妊娠、出産という人生の節目を迎えたつつみさん。毒親から解放され、妻、母親として新しい人生を歩み始めた現在の状況について語ってもらいました。※前編<“毒親”に育てられたマンガ家が語る、親との絶縁 「周りの人のおかげで『見捨てるな』という母の洗脳が解けた」>から続く

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「どうして産もうと思ったの?」届いた誹謗中傷

――『毒親に育てられました1〜3巻』に引き続き、今回の子育て編も大きな反響があったと思います。

 そうですね、反響は大きかったです。毒親に育てられという方々から「私も子どもを持つことに悩んでいたから、すごく読みたかった題材です」という声をたくさんいただきました。

――妊娠中には「どうして産もうと思ったの?」など、心無い誹謗中傷のメッセージも届いたそうですね。どうやって気持ちを強く持ちましたか。

 はい。誹謗中傷のメッセージが届いたのは妊娠初期で、一番メンタルが不安定な時期でした。だから衝撃が強くて引きずっていたんです。でも前の職場の先輩に相談したら、「こんなふうに言われたらムカついて涙が出るのは当たり前だし、そもそも妊娠中はメンタルも不安定なんだから落ち込んでしまうのも仕方ない。でも大丈夫だよ」と励ましてもらえて。それから「妊娠中だからこんなに過剰に気にするのかな」と受け止めるようになって、少しずつ気にならなくなっていきましたね。

――著書の中では妊娠する前から母になっていいのか悩む、つつみさんの様子が描かれています。「親になってもいいんだ」と思えるようになった経緯を教えてください。

 結婚の話が具体的に進み、「子どもが欲しい」という夫の言葉に前向きになりたいと思ってから悩み始めました。「毒親育ちの私なんかが子どもを産むなんて……」と心は揺らぎました。子どものいる幸せな暮らしは憧れるけれど、ちゃんとした親になれる自信がありませんでした。

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大楽眞衣子
大楽眞衣子

ライター。全国紙記者を経てフリーランスに。地方で男子3人を育てながら培った保護者目線で、子育て、教育、女性の生き方をテーマに『AERA』など複数の媒体で執筆。共著に『知っておきたい超スマート社会を生き抜くための教育トレンド 親と子のギャップをうめる』(笠間書院、宮本さおり編著)がある。静岡県在住。

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