一番風呂にテレビのチャンネル権……「特別待遇」にやる気アップ
――家族のサポートでうれしかったことは。
家は勉強で疲れた体を休める場所、ということで、心地よい環境を作ってくれたことですね。たとえば、僕は帰るのが遅いのでお風呂が最後になるのですが、一番風呂につかれるように、母が一度お湯を落として洗い直して新しくお湯を張ってくれたり。「お兄ちゃんは今しかテレビが見られないんだから」って、弟たちの見たいものより僕の希望を優先してくれたり。
晩ご飯のおかずも、僕だけお刺身とかお肉とか、みんなよりグレードの高いものを出してくれたり、やる気が出るような「別メニュー」を考えてくれたりしていました。デザートも毎日出してくれていましたね。そういうふうに、心を尽くしてくれたのが伝わるし、外での頑張りをねぎらってもらえていると感じたので、勉強にも集中できたと思います。
僕は3人兄弟で、末の弟はまだ小学生なのですが、いつもだったら僕にかまってほしがるところをこらえてくれていました。その分、合格後は一緒にいろいろ遊びに行きましたね。
――受験勉強の息抜きはなんでしたか。
外食ですね。一日中、塾にいるときは息抜きも兼ねて友達と外食していました。うちは基本的にご飯は家で食べる家庭だったので、まず、世の中にこんなにたくさんの飲食店があることが新鮮でした。「昨日、うどん屋に行ったから、今日はラーメンに行こう」と考えるのが楽しくて。外食の楽しさに目覚めてしまいました。普段は倹約家の母も、それが僕の唯一の楽しみだということを知っているから、外食用にまとまったお金を銀行口座に入れてくれていました。
「もっと知りたい!」が大きくなって、その先に医学部があった
――幼稚園のころ頃から医学部を目指していたそうですね。
小さいころは体が弱くてよく病院のお世話になっていたのですが、そこで明らかな誤診や症状に合わない薬を出されたことがあったそうです。母が「私が医師だったら……」と嘆く様子や、弟を妊娠してつわりで苦しむ様子を見て、お医者さんになりたい、と思うようになりました。
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