でもそれ以前に、「知らないことがあるのがイヤ」という気持ちがあったんです。例えば、どうしてしゃっくりが出るのか、自分の体のことなのにわからない。生物学や医学って、一番身近である自分の体を知ること。学んだことが「だからこうだったのか!」と自分に当てはめて実感できて、すごく面白いんです。「もっと知りたい!」が大きくなって、その先に医学部があった、という感じでした。

――今後の夢は。

 実際に医学部に入ってわかってきたのは、医者って思ったよりもいろんな選択肢があるということです。何を専門とするかもそうですが、臨床の道に進む人もいれば、研究の道に進む人、そのほかの道もたくさんある。社会に出始めた開成の先輩たちから、中高でやっていた部活や留学などの経験が生きた話をよく聞くので、人生、何が役に立つかわからない。どんな医者に自分はなりたいのか、大学生活でとにかくいろんなことを学んで、たくさんの経験をして、考えていきたいと思います。

――いつか大学受験をする小学生や、それを支えるママ、パパにメッセージをお願いします。

 大学受験では、より有名な大学に入ることが目標になってしまいがちですが、大切なのはその子の人生が豊かで幸せなものであるかどうかかな、と思います。

 たしかに偏差値が高かったり、有名だったりするような“いい学校”に入るのはすごいことだと思います。でもそれにずっとすがっていたら、それ以上、その人の力は伸びていかないと思います。その大学で何が学べるか、どんな仲間と出会えるかが大事。そのための受験で、そのための志望校選びではないかなと思っています。

 僕が今、希望の進路へ進み、大学の授業が面白くて仕方ないのは、うちの親がずっと僕の幸せを考えて見守っていてくれたから。僕が小学生の親御さんたちに何かお伝えするなんて差し出がましいですが、もし子どもの立場から言わせてもらえることがあるとしたら、「最終的にその子の人生がどうやったら豊かになるのか」を考えて見守ってもらえたらうれしいな、ということでしょうか。

(取材・文/清繭子)

【前編】開成から医学部へ!ぎん太流・大学受験の勉強法「授業の内容を毎日、親に報告。自然と自分の知識も定着していきました」
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清繭子
清繭子

出版社で雑誌・まんが・絵本の編集に携わったのち、独立。編著『小学生おまもり手帖』(オレンジページ)。エッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』(幻冬舎)が2024年7月18日発売。

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